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【パワーハラスメント】責任の法的根拠や法構成は?

2013.02.01

●スポーツ界でのパワーハラスメント

大阪の公立高校バスケット部での体罰事件や高校駅伝の名門校での体罰問題、柔道全日本女子監督によるパワーハラスメント(パワハラ)問題など、ここ最近、スポーツ界のパワハラが次々と顕在化してきています。
今後、調査や処分が行われ、制度の見直しなど図られることと思いますが、一般的に体罰やパワハラが起こり、話し合いでの解決がつかない場合は訴訟を起こすことになります。
訴えについての法律的な根拠について、整理してみたいと思います。
●学校やスポーツ団体の法的責任は?
パワハラが起きた場合に、学校やスポーツ団体にはどのような責任があるのでしょうか?
その際、学校やスポーツ団体が私立学校や学校法人、民間の団体の場合と、国公立学校の場合は法的根拠が違ってきます。
●私立学校や民間のスポーツ団体の場合
学校は生徒との間に在学契約を結んでいると考えます。
つまり、生徒は授業料を払って教育を受ける権利を得ており、それに対して学校は安全に安心して学校生活が送れる環境を提供し、教育する義務があります。
その環境が安全でなく、パワハラ被害が発生して教育を受ける権利が損なわれたとなると、学校は契約違反を問われ、結果として損害賠償しなさいと訴えられます(民法415条)。
民間のスポーツ団体と会員間であれば、会員が会費を払ってスポーツ指導を受ける権利を得るのに対して、スポーツクラブは安全な環境のもとスポーツ指導をする義務がありますので、体罰やパワハラがあった場合には、同じく民法415条の債務不履行による損害賠償責任となります。
また、体罰などの暴力行為を行って生徒や会員にケガをさせたという観点からみると、不法行為にあたりますので、民法709条に基づく損害賠償責任に帰着します。
さらに、体罰やパワハラを発生させてしまった指導者(加害者)を雇用している私立学校やスポーツ団体については、加害者を使用している者として民法715条の使用者責任が追及されます。
●国公立学校の場合
私立学校や民間のスポーツ団体と同様、在学契約の問題として捉えれば、契約上の責任として債務不履行責任が生じます。
あるいは、公務員(加害者)の不法行為責任とすれば、公権力の行使と考えられるので、国家賠償法が適用されます。
ただし、私立学校や民間のスポーツ団体の場合は、指導者(加害者)に対して、民法709条の不法行為責任を追及し、私立学校や民間スポーツ団体には民法715条の使用者責任を追及するという法的構成が考えられますが、国公立学校の場合は、加害者か使用者たる国や地方公共団体のいずれかを選ぶことになります。
法律参照条文
 教育基本法3条 (教育の機会均等)
 「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、
 人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」
 スポーツ基本法2条1項 (基本理念)
 「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利であることに鑑み、
 国民が生涯にわたりあらゆる機会とあらゆる場所において、自主的かつ自律的にその適性及び健康状態に
 応じて行うことができるようにすることを旨として、推進されなければならない。」
 民法415条 (債務不履行による損害賠償)
 「債務者はその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求する
 ことができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」
 民法709条 (不法行為による損害賠償)
 「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を
 賠償する責任を負う。」
 民法715条1項 (使用者等の責任)
 「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する
 責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の
 注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」
 国家賠償法1条1項
 「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に
 他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

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