【資金調達】財源の特徴とその活かし方
2016.09.05
●非営利のスポーツ団体にとっての財源
非営利のスポーツ団体が活動するにあたっては、資金を確保しなければなりません。
まずは、非営利のスポーツ団体の財源は、どのようなものがあるのかを把握してみましょう。
NPO法人や一般社団法人の場合、主な財源収入は以下の3つに分類されます。
・事業収入
・補助金、助成金、融資
・寄付金、会費
組織運営が安定するには、それぞれの財源がバランスよく機能することと、多様な財源を確保することが大切です。
どれか一つの財源に偏っていると、その財源が確保できなくなった場合に、組織の維持運営が難しくなる場合があります。
●各財源の特徴
主な財源の特徴は、以下のとおり。
(1)事業収入
多くのスポーツ団体では、この事業収入の割合が最も大きな資金源となっています。
スポーツ教室の授業料やスポンサーからの協賛金、グッズの売上などが該当します。
【メリット】
・行政や助成元に左右されないため、自由度が高い。
・事業収入の確保は、外部からみた信用度につながる。
・サービスの提供を通じて、潜在的支援者が増加する。
【デメリット】
・資材の購入や場所の確保など、先行投資的資金が必要な場合に、その資金が回収できないというリスクがある。
・事業形態によっては、課税される可能性がある。
・民間や行政との競合により、採算割れを起こす可能性がある。
(2)補助金、助成金
国、地方公共団体、民間からの各種国庫補助金、スポーツ振興くじ助成金、子どもゆめ基金助成金等が該当します。
【メリット】
・大きな金額がまとめて入る。
・信用力の補完になる。
・新しい事業をスタートする上でのリスクを軽減してくれる。
【デメリット】
・依存しがちになる危険性がある。
・継続が保障されていない。
・使途が制限されており、自由に使うことができない。
(3)会費
入会金や登録料、年会費等がこれにあたります。
正会員・社員(総会での議決権あり)、賛助会員(議決権なし)といった区分があります。
【メリット】
・使途に制限がないので、自由に使うことができる。
・継続した収入なので、経営が安定する。
【デメリット】
・会員集めやその後の関係性の保持に手間がかかる。
・議決権を持つ正会員・社員の集め方によって、運営上のリスクがあることを検討する必要がある。
(4)寄付
個人または企業からの寄付や募金が該当します。
寄付税制の改正や遺贈寄付により寄付への関心が増加していることから、寄付に取り組むスポーツ団体もあります。
【メリット】
・ときに大口の支援に発展する場合がある。
・お金の寄付だけでなく、ボランティアとしての支援などさまざまな支援につながる可能性がある。
・多くの寄付者に支えられている団体として、社会的な信用につながる。
【デメリット】
・寄付集めやその後の関係性の保持に手間がかかる。
●財源のバランスと相乗効果
たとえば同じ事業収入でも、行政からのスポーツ教室の委託がほとんどのスポーツ団体と、自主事業が複数あって、その中に委託が加わっているケースでは経営の安定度合いが異なります。
さらに、会費や寄付、助成金などの複数財源でバランスを図ることができれば、理想的です。
また、スポーツ教室の参加者が増えれば、事業収入が増えますが、それをきっかけに会員や寄付者を増やすことも考えられるでしょう。
あるいは、助成金を活かして採算性のある新規事業モデルを立ち上げる、シンポジウムを開催して影響力のあるトップアスリートや企業を巻き込むという展開も考えられます。
■参考文献
パブリックリソースセンター編「NPO実践マネジメント入門」東信堂
新日本有限責任監査法人著「スポーツ団体のマネジメント入門」同文舘出版
☆スポーツ団体の運営上の資金計画や法的手続のアドバイスなど行っています。
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