【NPO法人・一般社団法人】法人税―収益事業課税
2012.06.05
株式会社のような営利企業の場合は、すべての所得に対して法人税が課税されますが、非営利性が徹底している一般社団法人、およびNPO法人には、法人税法上の収益事業に対してのみ課税されます。
●法人税法で定められている収益事業の要件
(1)政令等で定められた34の事業のいずれかに該当すること
(2)継続的に行われる事業であること
(3)事業場を設けて営まれること
3要件のすべてに該当している事業が収益事業です。
●34の事業
(1)の「34の事業」については、法人税法施行令第5条1号〜34号に列挙されており、以下のとおり。
(1)物品販売業 (2)不動産販売業 (3)金銭貸付業 (4)物品貸付業 (5)不動産貸付業
(6)製造業 (7)通信業 (8)運送業 (9)倉庫業 (10)請負業 (11)印刷業
(12)出版業 (13)写真業 (14)席貸業 (15)旅館業 (16)料理店業その他の飲食点業
(17)周旋業 (18)代理業 (19)仲立業 (20)問屋業 (21)鉱業 (22)土石採取業
(23)浴場業 (24)理容業 (25)美容業 (26)興行業 (27)遊技所業 (28)遊覧所業
(29)医療保健業 (30)技芸・学力教授業 (31)駐車場業 (32)信用保証業
(33)無体財産権の提供業 (34)労働者派遣業
●継続性とは
(2)の「継続して行われるもの」とは、全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、事業計画に基づいて準備に相当期間かかるものや、定期的あるいは不定期に反復して行うものも含まれます。
●事業場を設けて
(3)の「事業場を設けて営まれるもの」については、常時店舗や事務所などの活動拠点を一定の場所に設けて事業を行うもののほか、必要に応じて随時その活動のための場所を設けたり、既存の施設を利用してその活動を行うもの、あるいはその活動を行う場所が転々と移動する場合も含まれます。
●スポーツの指導の場合
法人が主催するスポーツ教室の場合をみてみましょう。
34の事業のなかに、「(30)技芸・学力教授業」がありますが、その中身は、以下のとおり。
洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車操縦もしくは小型船舶の操縦
この場合、スポーツの指導は入っていませんので、原則、スポーツ教室のような事業には法人税は課税されません。
●スポーツイベント開催の場合
こちらは、34の事業のなかの「興行業」に該当しそうです。
「興行業」とは、映画、演劇、演芸、舞踊、音楽、スポーツ、見せ物等の興行を行う事業、および興行の媒介または取次ぎを行う事業となっています。
ただし、慈善興行などの場合は、興行業に該当しない可能性があります。
たとえば、そのイベントにかかる会場費や人件費などの経費を賄う程度の低廉な入場料によるものです。
該当するか否かの判断は、所轄の税務署長に委ねられていますので、税務署に出向いて相談するとよいでしょう。
●参考サイト
法人税法基本通達 「第15章 公益法人及び人格のない社団等の収益事業課税 」
法人税法基本通達 「第26款 興行業」